むかし、ずっと成功したいと思っていた。
その時は、何が成功かなんて考えることもなく、
何が自分の人生においての成功かなんて
考える大切さも知らず。
ただ闇雲になんだか成功したかったことがある。
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で、それに向かって猛突進していたあるときに
成功みたいな小さな報酬と同時に
何やら大切なものがポロポロとザルの隙間からこぼれ落ちていく感じを覚えた。
ものすごく怖かった。
小さな報酬と手ごたえと、ちょっとした自尊心と引き換えに
わたしは掴めていない大切なものがあるのではないか、
と思えてしょうがなくて
とにかく取りこぼしたものを見ないように、
見ないように、と目をつぶっていた。
・・・そしたら、壁にぶつかって
おでこにたんこぶつくって、痛い痛いと泣きわめき、
そしてやっと目をあけた。
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ぶつかった衝撃で、
手に握りしめていた小さな報酬のようなプライドは
その衝撃で手からこぼれ、
わたしの手元にも
身体にも、細胞にも、
そして心にも何も残っていないことを知った。
その時、やっと目が覚めた。
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粗いザルの目から取りこぼしたと思っていたすべては
実はいつもすぐそばにあったのだけど、
わたしの心も身体にもスペースがなくって、
とりあえず待ってくれていたものたちがたくさんいた。
愛と感謝を体感したのは、
その時かもしれない。
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このブログを読んでいる人で
成功したい!
みたいな人はあまりいないと思うけれど、
わたしの人生にこの言葉が必要なくなったときに、
ひとつの成功を手にしたような気がした。
でも、それは空気のように掴めなくて
水のようにするすると手からこぼれ落ち、
そして、涙のように自分の中から自然と溢れ出てくるものだった。
だから、心配しなくて、いい。
すべては私たちの中にある、と
そうやっていつも世界は言っている。