例えば、ある素敵な一軒家があったとしよう。
この一軒家という空間、
そしてこの一軒家という空間に住む人のためのことを思って、
インテリアチームが組まれたとする。
その時、インテリアチームはさまざまな価値観の人々で構成されている。
どの人も、その人なりの考え方と
その人なりの好み、個性、ルールというものを持って
チームとしてこの一軒家の空間作りをしようとしている。
チームは一致団結して
この空間の”主”のために、切磋琢磨しながら
意見を交換し合う。
話し合いがうまくいっているときは、
チームのメンバーがそれぞれの考えを認め合い
議論することができているとき。
ただ、その時はかならず、焦点は常に
”空間の主”に向けられている。
この一軒家に住む主が心地よくなるように。
幸せな時間が過ごせるように。
照明はこうしたほうがいいだの
窓はこうしたほうがいいだの、
キッチンはこうしたほうがいいだの
色はこうだの
机はこうだの
小物はこうだの
カーテンはこうだのと
いろいろな論争が繰り広げられている。
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しかし、チームが目的を見失うと
個性豊かなチームは互いに争うようになる。
”空間の主”のことは忘れ、
誰の意見が最も正しいのか?
誰の価値観が最も素晴らしいのか?と
言い合いをはじめてしまう。
この時、話は全くまとまらず、
誰の意見も尊重されずに、
混沌としたまま、
一向に、一軒家のインテリアは決まらない。
当然、
空間の主は落ち着かないし、
幸せな気分にもなれないし、
ほっとできず、
”居場所がない”と感じてしまう。
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これが、わたしたちの潜在意識で起きていると考えてみてください。
空間の主、というのは”自分”のことです。
そして、その空間の主のために
さまざまな価値観を持ったコーディネーターたちがいます。
コーディネーターたちはいろいろな体験を積んでいますから、
ご意見番的な感じで存在しています。
このコーディネーターたちはわたしたちの中で”声”として登場します。
あるいは”ことば”や”考え方”といってもよいでしょう。
空間の主は、基本的にインテリアコーディネーターたちから信頼されていません。
”自分の方が経験しているから”と思っています。
『わたしたちが決めてあげる!』
『わたしたちに任せて!』
といって、コーディネーターたちは
自分たちの主張を通そうとするのです。
チームが仲良い時は良いのですが、
個々の価値観が存在する中で
その意見たちがまとまるのはとても大変です。
人間界でも大変ですが、
もちろん、潜在意識界でもたいへんです(笑)
チームをまとめる唯一とも言えるものは
”空間の主”への愛
だといっても過言ではないでしょう。
”ヴィジョン”ですね。
しかし、インテリアコーディネーターたちがそれを忘れてしまうと、
意見が暴れるようになり、目的を見失い、
そして、居場所がなくなってしまうのです。
これが、
・喪失感や孤独感
・居場所がない感
・落ち着かない感
・自分がわからなくなる感
となるのです。
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わたしたちはついつい、
自分そのものと、自分の中に持っている”価値観”とを同一視してしまいます。
しかし、空間の主とコーディネーターたちは違う存在ですよね。
価値観は価値観。しかもたったひとつではありません。
こころのクローゼットの中にあるお洋服たちと同じ。
よく、
「わたしはこう思う」と言いますが
”わたし”が思っているのではなく
”わたしの中にある価値観”が思っていることだったりします。
そういった「わたしはこう思う」には必ずと言っていいほど
「でも」「けど」「だって」
がつきます。
「わたしはこう思う、けど~・・・」
「わたしはやりたいのだけど、でも~・・・」
この類は、ほとんど”自分が本当に思っていること”ではないと捉えてもらっていいのです。
この本でも書きましたが、
ほんとうの願望は自分を幸せにします。
「~したい」が自分を幸せな気分にしないなら、
その願望は、願いではなく自分への強迫観念です。
”~したい”ではなく
”わたしは~したい、と思っていなければいけない”
”わたしは~したい、と思っているに違いない”
ということ。
まずは、これが区別できるようになると
自分のほんとうに感じていることや
自分自身とのつながりを強く感じることができますね。
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さらに、価値観というものは変わっていきます。
季節が変われば衣替えですし、
自分の好みが変われば洋服の種類も変わりますよね。
だから価値観は変わりますが、
本質的な自分自身は変わりません。
しかしここで、自分自身と価値観が同じだとしてしまうと
価値観が変わろうとする時に、恐れや不安を感じてしまいます。
それはつまり、”裸になる怖さ”と同じです。
服が脱げないことと、価値観を変えることができない(あるいは変わろうとする時に抵抗感が生じる)
どうすればいいかって、まぁ、裸になればいいんですが(笑)
(つまり、どんな自分であってもありのまま見せればいいってこと)
それができたら苦労しないぜって話なんですよね。
そこで思い出して欲しいのは、先ほどの
こころのインテリアコーディネーターたちのこと。
彼らが”空間の主への愛”を見失うと、
もともとバラバラな意見が凶器になってしまいますよね。
互いに傷つけあい、罵倒しあい、競い合うようになる。
自分の内側がこのような状態だと、
それがそのまんま外側(現実的な世界)の人間関係につながります。
内戦が起きているから、
外側でも戦いが起こる。
だからまずは、このブログの例でいうなら、インテリアコーディネーターたちの注目を
”空間の主”に集めないといけないんですね。
つまり、戦うことや競い合うことから
”目的を果たすこと”へ、
自分の価値観や前提、
思い込みなどのエネルギーが向く矛先を変えるのです。
ぼうっとしていたら、常に自分の頭の中で鳴り響く、
いろいろな声に翻弄されていきます。
さっきはやりたいとおもったのに、
次の瞬間「それは意味がないよ」と声が聞こえてきたり、
また次の瞬間「またまたネガティブになっている」と言い出しては
「いいじゃんこれもわたしなんだから」
と喋り続ける。
この移り変わる声たちは必ずしも”ひとり”とは限りません。
さまざまな価値観がミルクレープのように重なり合っているのが
わたしたちの状態なのですから、
自分の中で切り替わり続ける”声”を、
たったひとつ、にしようとコントロールする必要はないのです。
なんども言いますが、空間の主のために
喋り続け
意見を交わし続け
論争し合うインテリアコーディネーターたちは
本来、わたしたちの心地よさと幸せのために存在しています。
目的を忘れてしまうことがあるのです。
だから、意味もない争いや戦いが
自分の中で繰り広げられてしまうのです。
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わたしが潜在意識の仕組みを伝える時にいつも話すのですが、
『潜在意識の思い込み(=信念、価値観、思い込み)を
変えようとするのではなくて、
その思い込みや価値観たちに、
本来の目的(愛、感謝、喜び)を
もう一度思い出してもらうこと』
がとても大切なんです。
ビジコアの動画テキストコースでもお伝えしているのですが、
人は自分にとって不都合な思い込みや価値観を見つけると、
すぐにその反対の価値観を持てば幸せになれる、と思っています。
しかし、
潜在意識の思い込みも前提も
変える必要がないことが多い。
クローゼットの中にある洋服が良いから悪いから、で捨てるわけではないように
『目的』を見失っているそれらが自分を苦しめているだけなのです。
だから、再度、目的を与えてあげる。
価値観や思い込み、ルールや前提などといった
”こころのインテリアコーディネーターたち”に
『あなたたちの仕事は、わたしを幸せにすることです』
とちゃんと伝える必要があるのです。
クローゼットにしまわれて着ることがなくなった洋服たちに
もう一度、一緒に出かけるチャンスをあげる。
「この服、まだ着れるかも?かわいいかも?」と
その服の意味を持たせる。
そういう意識を持って見てはじめて
”それはいらない価値観なのかどうか”がはっきりわかります。
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じゃあ、どうすればもう一度目的を持ってくれるの?
って話ですよね。
そのためには、
空間の主がそもそも主張しなければいけないわけです。
クライアントがぼやぼやしていたら、
インテリアコーディネーターたちも目的が定まりません。
どんな空間に住みたいのか?
どんなライフスタイルがいいのか?
何を体感したいのか?
空間の主がまず、思い出さなくてはいけないのです。
そして、空間の主はわがままでいいのです。
得たいものとか、なりたい姿とか
お金とか恋人とか愛情とか成功とかの前に
感じたい感覚に貪欲であれ。
外側(目に見える結果や、お金や結婚や、成功や数字やお客や出来事)
に焦点を向けるのではなく、
内側に向け続ける。
なにを考えているのかはどうでもいい。
(コーディネーターたちの声だから)
感じたい感覚に貪欲に、感じること、感じ続けていること
感覚をキープすること。
それが大事ということです。
常にいい気分でいることを選択しよう、と言われているのは
そうすることがすばらしいからではなく、
またそうすることで人生がうまくいくからではなく、
常にいい気分でいることを選択しようとするプロセスの中に
空間の主である自分との出会いがあり、
自分の”考える”素晴らしさではなく”感じるすばらしさ”との出会いがあり、
ほんとうに幸せだと感じている瞬間に気づくことができるからなのです。
空間の主が目覚めれば、
そのために働くインテリアコーディネーターたちは
もっと活気に溢れるでしょう。
争うためにさまざまな価値観を持つのではなく、
自由に生きるために、さまざまな価値観が存在するように、なるのです。
もし、自分の中の考えや言葉や声がカオスになってきたら
ひところ、こころを込めてこう、自分に伝えてあげてください。
『あなたたち(考えや声)は、わたしを幸せにするために存在しているのです。』
と。
ピシャリ!と言ってあげると、
じつはビシッと!背筋が伸びるコーディネーターたちなのです。
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